idea factory from newspaper 2003 7 19
経営手腕(management expertise)
巨額の地方債の問題が記事にありました。
地方債とは、地方公共団体の借金のことです。
この問題を放置すれば、地方公共団体の命取りになります。
今でも、一部の地方公共団体は、借金を返済するために、借金をしています。
これは、破綻を意味しています。
公的資金を注入した都市銀行が、債務超過ではないかと疑う専門家もいます。
しかし、この都市銀行より、一部の地方公共団体の方が経営状態は悪い。
地方公共団体も財務諸表を作るべきであるということで、
市町村によっては、独自に財務諸表を作成した市町村がありました。
都道府県レベルでは、財務諸表を作ったという話は、あまり聞きません。
まさかとは思いますが、
財務諸表を作れないような経営内容でしょうか。
これは、生命保険会社が、株式会社化したくない理由と同じかもしれません。
生命保険会社が、株式会社化すると、経営内容が明白になります。
さて、財務諸表で、地方公共団体の経営内容が、ある程度、わかりますが、
これにも、欠陥があります。
基本的に、都道府県や市町村の道路、県庁舎、市庁舎は、
赤字になったからと言って、売却できません。
国が赤字になったからと言って、国会議事堂を売却できないのと同じです。
国会議事堂を解体して、更地で売却すれば、巨額の資金が入りますが、できないでしょう。
だから、国会議事堂は資産価値がないのです。
しかし、企業は、赤字ならば、都心にある本社を売却することができます。
このように、地方公共団体の財産の多くは、資産価値がありません。
これらの資産を除外して、財務諸表を作らないと、意味がありません。
一部のゼネコンが債務超過であると指摘されますが、
地方公共団体に比べれば、まだマシです。
よく、1日市長という行事があります。
逆に1日社長というものがありますか。
おそらくないでしょう。
都道府県と日本の大企業は規模が同じです。
知事が、日本の大企業の社長をやると、どうなるか。
たとえば、キヤノンと都道府県は、規模が同じくらいの大きさでしょう。
キヤノンの社長と知事は、社会的地位が同じくらいでしょう。
毎年好業績のキヤノンの社長に知事が就任するのです。
知事が経営手腕を身につけるという意味で、
1か月社長をするのです。
これを投資家がどう判断するか。
その判断の結果は、翌日、すぐ出ます。
投資家の審判が下ります。
逆に、キヤノンの社長が1か月知事に就任する。
これを県民がどう判断するか。
首相の支持率調査は、マメにやっていますが、
都道府県知事の支持率の調査はしていないですね。
県民が、1日知事は務まるが、
県民が、大企業の1日社長は務まりません。
これでは、知事が、社長より格下になってしまいます。
しかし、これで、いいわけはないでしょう。
知事に、日本の大企業を経営するほどの能力が必要なのです。
そういう能力を持った人が、知事になってほしいのですが、
これは、無理かもしれません。
「成功した企業」の社長もしくは役員が、知事や大臣になれるシステムが必要です。
役員の場合、知事や大臣の任期が終われば、もとの会社に戻れるシステムも必要です。
今までも、企業の社長が、知事や大臣になっていましたが、
その企業は、斜陽産業だったでしょう。
あるいは、経営不安のある企業だったでしょう。
こういう企業の社長が、都道府県や市町村の経営をすれば、どうなるか。
自分の会社で放漫経営をやり、都道府県や市町村でも放漫経営をやった。